掌蹠膿疱症の治療…漢方薬による治療法

中医学の側面からの治療として

難治性疾病という性格上、掌蹠膿疱症の治療では、繰り返し使用する薬への耐性や副作用により長期治療の継続が困難になるケースがあります。

ステロイドホルモン外用剤の効果が使用頻度や期間によって薄れてきたと感じたことのある患者は多いと思います。

そこで比較的副作用が少なく長期での服用が可能である漢方薬は医療現場ではしばしば用いられるとのことです。

私自身も治療が長期化する場合を想定して漢方について事前に調べていましたが、中医学の考え方は、西洋医学と比較して科学的でない分、どうしても理解しがたく自身にうまく取り入れることができていません。

しかし治療に効果があったという報告を無視はできません。

理解しづらいからこそ、要因が一つでなく複雑に絡み合って発症する掌蹠膿疱症の根本治療へとつながり得るのではないかと思っています。

そのため本来、根本治療としてカテゴライズするべきなのかも知れませんが、今のところ入手できる資料の中では対症療法と判断できたので、対症療法のカテゴリにしました。

わたしが西洋医学による根治の可能性を断たれたら、漢方医学への入り口へと向かうかも知れません。

掌蹠膿疱症の治療…漢方薬による治療法掌蹠膿疱症.comイメージモデル

中医学って面白い

掌蹠膿疱症の漢方での治療を検討したい思い、最初の入り口として『(アトピーも掌蹠膿疱症も)皮膚の病気は内臓でなおす』猪越恭也(草思社 2009年)を読みました。

西洋医学とは違う見地から自身の症状を知るのは新鮮な体験でした。

著者の猪越恭也氏は、掌蹠膿疱症の真の原因は必ず体の内側の「内臓」にあるとし、内臓と皮膚の関係を知り根本治療をする必要性を説いています。

(アトピーも掌蹠膿疱症も)皮膚の病気は内臓でなおす

(アトピーも掌蹠膿疱症も)皮膚の病気は内臓でなおす
2009/6/23 猪越 恭也 (著)

漢方による掌蹠膿疱症の治療は、1年半から2年で改善し、3年で治療を終える人が多いということです。

私にはかなり長期と感じられ、一時的に症状が悪化するとも書かれていたので試すには至っていませんが、一時的な悪化現象は、その衝撃によって、人体の自然治癒力をめざめさせるという大事な効果があるように思われると猪越恭也氏は言われています。

次のパートで掌蹠膿疱症の治療についての記述を要約しますが、患者の立場でいくら勉強しても漢方についてはなかなか理解が難しいので、一度、猪越恭也氏のいらっしゃる東西薬局を訪れてみたいと考えています。

ご本人は吉祥寺店におられ、事前の予約をすればお会いしてくれるようです。

わたしが治療として漢方を取り入れたいと思うのは、他に有効な対症療法や根本治療が見つからなくなった時、または症状が現れなくなってしばらくしてから体質改善を図る時だと考えています
※上述しましたが、西洋医学での根治の可能性を断たれたときになると思います。

「肺腎両虚」「湿熱」「血虚」

中医学からみた掌蹠膿疱症の発生機序

・掌蹠膿疱症は免疫異常であり、それは免疫細胞の生まれ故郷である「骨髄」の働きが悪く、(正しく機能するように)教育が徹底していないと考える。
・骨髄の働きを司るのは「腎」
・掌蹠膿疱症の炎症の場は皮膚の一部で、これは五臓の「肺」。
・つまり「腎と肺」の二系統の衰弱によって症状が起こっており、これを「肺腎両虚」という。
・患部は白血球を含んだ体液を伴う炎症なので「湿熱」という「証」
・乾燥による皮向けは血液の不足によるので「血虚」という「証」
・肺と腎を強化し、患部の熱と過剰な分泌液を除き、造血して皮膚に潤いを与えることが治す方法

基本的な体質は、肺と腎の陰分(体液)不足であるので、肺と腎を強化し、陰分をます必要があります。このような治療法を中医学の言葉で”滋補肺腎”といいます。そのために「八仙丸(はっせんがん)」を用います。
これは、中国・清時代の薫西園が『医級』(1777年)という著書に記載している処方です。手足がほてり、水分をよく摂り、のどをはらしやすい体質、つまり肺腎陰虚の体質の人の為に考案されたものです。
この処方の成分は、肝腎を補う「六味地黄丸」をベースに、肺を滋養する麦門冬と五味子という、二つの薬草を加えたものです。つまり、八仙丸は滋補肺腎の作用のある、体質改善の基本処方なのです。
つぎに炎症による痒みや膿に対する療法ですが、炎症を起こして膿が出ている状態を肝胆湿熱と言います。肝胆に作用し、炎症の熱をさまし、胆汁の分泌を促して秒毒素を排泄する方法を用います。このような方法を、清瀉肝胆湿熱、利肝解毒などといいます。
汎用される薬草は、石膏、黄連、 黄芩、 黄柏、山梔子。知母、苦参、竜胆、玄参、生地黄、板藍根、大青葉、金銀花、 連翹、茵蔯蒿、大黄、金銭草、柴胡、海金砂などたくさんあります。
つぎに血行不良を改善し、瘀血を除去する方法は、活血化瘀法(あるいは駆瘀血)といい、 鬱血、血栓、コレステロール、中性脂肪などの除去に役立つものです。
汎用される生薬(天然の薬物)には、丹参、赤芍、 川芎 、牛膝、紅花、桃仁、蘇木、三稜、鶏血藤、当帰、何首烏などがあり、丹参、当帰、何首烏には増血作用もあります。
以上の三つの治療法を組み合わせ、処置を急ぐ症状に対する治療を先に行い、もしくは並行して根本的な体質改善を進めます。
こうした体質改善は、普通三年くらいをメドとします。

引用:掌蹠膿疱症と漢方-皮膚にでる自己免疫疾患の方の体質改善/東西薬局

漢方併用療法

『掌蹠膿疱症の漢方併用療法(J Visual Dermatol 11:1076-1078,2012)』の中では、ビオチン酸1mg/日と抗ヒスタミン薬エバステルOD錠10mg/日の内服、ステロイドの外用薬であるメサデルム軟膏外用、両手掌、足底へのナローバンドUVBの照射(1回/2週)を開始したあと、掌蹠の過角化や紅斑が残存し軽快憎悪を繰り返していた症例に対して、十味敗毒湯(7.5g/日)の内服治療を追加後、徐々に症状が軽快し約2ヵ月後には手の角化性病変がほぼ消失し、足底も一部に過角化が残るものの軽快に向っているという報告が掲載されていました。

掌蹠膿疱症に効果があったと報告される漢方薬

皮膚科学誌のMB Dermaで報告された漢方薬とその症例数に”やや有効以上”の効果があったとされる漢方薬の一覧表です。

やや有効以上というものがどのレベルなのかは判然としませんが、掌蹠膿疱症の治療に登場する漢方薬を把握するには非常に有用なものだと思います。

特に論文では十味敗毒湯について、「漢方薬は体力が著しく低下した患者の場合、悪化することも考えられるため患者の状態を十分に考慮して方剤を選択することが医師には求められる」と論じられていました。

漢方薬
症例数
やや有効以上
温清飲、温清飲+桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸
4
75.0%
黄連解毒湯+温清飲、黄連解毒湯+四物湯、温清飲
15
86.7%
消風散、桂枝茯苓丸、十味敗毒湯
11
63.6%
温清飲+小柴胡湯
13
84.9%
温清飲、温清飲+桂枝茯苓丸
10
60%
十味敗毒湯、加味逍遥散
5
有効以上3例
十味敗毒湯主体、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、三物黄ゴン湯
33
90.0%
三物黄ゴン湯
88
71.8%
黄連解毒湯
49
69.0%
温清飲
1
著効
黄連解毒湯+塩酸ミノサイクリン
24
有効以上22例
黄連解毒湯、桂枝茯苓丸、十味敗毒湯、消風散
12
83.3%
温清飲
97
84.5%

引用:橋本喜夫:MB Derma 11:57,1998(一部改編)

医療法人聖仁会漢方科の松本仁幸院長の手記

ここで同じく漢方という側面から、掌蹠膿疱症の治療が可能とおしゃる医師の手記をご紹介いたします。

この松本院長の手記は、掌蹠膿疱症の発生機序を西洋医学的にとらえ、その治療には免疫機能を向上させることが必要であるとし、その手段は漢方薬でしかないと言い切られています。

掌蹠膿疱症の発生機序に関するお考えも非常に参考になり、わたしが漢方による治療を始めるときにぜひお話を伺いたい医師のお一人です。

[松本医院へのリンク]
アトピー、リウマチ(アレルギー、膠原病)の漢方治療/漢方科 松本医院/高槻

松本医院

(前略)

病気というのは異物が入ってそれを免疫が認識し、症状を生じるのです。
この場合は免疫の武器は好中球でありますが、異物が細菌でなければいったい何なのでしょうか?

昔から掌蹠膿疱症は、金属アレルギーだといわれてきましたが、確かに体内に侵入した異物である様々な金属が原因となることもあるでしょうが、実はアレルギーは好中球には直接かかわりがないのです。
アレルギーに関わる細胞は肥満細胞であり、好酸球であり、好塩基球の3つであります。
従って好中球がかかわっている掌蹠膿疱症は、アレルギーとは直接関係ないのであります。
さらに掌蹠膿疱症においては、アレルギー抗体であるIgE抗体も高くなることはないので、掌蹠膿疱症はアレルギー疾患とと言えないのです。
つまりアトピーの特別な形ではないのです。

それでは好中球、別名多核白血球、好中性顆粒球はどんな仕事をするのでしょうか?
元来、生体に侵入してくる細菌や真菌や原虫などを貪食して体外に除去する仕事をしているのはご存知でしょう。
しかし掌蹠膿疱症においては膿疱に菌が見られないので、このような病原体と戦って生ずる病気ではありません。
それでは好中球は何と戦っているのでしょうか?

21世紀の現代において、病気の原因となる異物は、いつも言っていますように、化学物質とヘルペスしかありません。
ヘルペスの住処はあくまでも神経細胞ですから、まずありえません。
それではやはり化学物質と考えられます。

しかもこの化学物質が死んだ淡明細胞の成分と特別に親和性を持っていると考えられます。
手の平のや足の裏細胞は死んで形がなくなっているので、細胞のない透明な層になっているのです。
この死んだ透明な層のせいぶんと結びついた化学物質を、下の層にある血管からしみでた大量の好中球が有害な物質と認識し、それを食べまくります。
ところが化学物質は殺すことが出来ないので、好中球の寿命は4~5ですから、寿命が尽きて自らの死体が膿となるのです。

同時に、自分が死ぬときに自ら持っている様々な酸性加水分解酵素や、タンパク質を分解するプロテアーゼという酵素や、ペルオキシダーゼという酸化酵素を放出し、淡明層組織のみならず、その周辺の組織障害を引き起こし、炎症症状として膿疱症が生じるのです。

(中略)

それでは掌蹠膿疱症の正しい治療法はどうすればよいのでしょうか?
常々言っていますように、症状は免疫が正しい反応を起こしているだけですから、淡明層にたまった特別な異物の免疫を上げる漢方を用いて出し尽くせば、自分の免疫で治すことが出来ます。
ただ膿疱の後始末をする必要はありますが。
免疫を上げる唯一の薬は漢方薬だけであることを知っておいてください。

出典:掌蹠膿疱症はビタミンHといわれるビオチンの欠乏によって起こるのではない

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コメント

  1. コメント欄に失礼いたします。東西薬局の山本と申します。
    中医学による掌蹠膿疱症治療として、当局院長の猪越恭也先生の著書と内容を取り上げてくださり、誠にありがとうございました。
    猪越先生にこちらのHPついてお伝えしたところ、是非お話したいということでしたが、連絡先が分からず、コメント欄に記入させていただきました。さしつかえなければ、メールまたはお電話をいただくことは可能でしょうか。お手数おかけしますが、よろしくお願い致します。メールアドレスは別途記入します。電話番号は0422-47-9646です。

    • コメントありがとうございます。
      もしかしたら寛解しているだけなのかもしれませんが、現在は完治といえる状態にありますが、お話する価値はございますでしょうか?
      先生はかなりお忙しいと思いますので恐縮なのですが、いかがでしょうか?

      • ご返信ありがとうございます。また、こちらからのご返信も遅くなり申し訳ありませんでした。
        猪越先生は、貴殿が掌蹠膿疱症について熱心に取り組んでおられ、詳しいホームページを作成してくださったことや取り上げてくださったことについてお礼をお伝えしたいようでした。
        さしつかえないようでしたら、一度お電話でお話させていただけますか(ご連絡先をいただけましたらこちらからおかけ直しいたします)。猪越先生は月曜日か土曜日に来局されています。
        お忙しいところ恐縮ですが宜しくお願い致します。 

  2. みお より:

    初めまして
    私は3年前に膿疱が出て、近所の皮膚科→他の皮膚科→大学病院→ビオチン処方の病院を経て、現在、皮膚症状は千歳烏山のKメディカルクリニックで漢方薬処方と骨関節炎はKメディカルで紹介されたJR東京総合病院のリウマチ科にかかってます。
    大学病院で処方されたデルモベートで皮膚が薄くなり指紋もなくなり、少しの刺激でも痛みを感じ怖くて他の方法を探し、ビオチンが処方された病院もあまり信頼・出来ず、効果も得られずで漢方に行き着きました。
    結果、漢方で皮膚症状・爪の変形ともに治りました。服用から2年経ちましたが今も服用中です。来院する度に症状により薬をまめに変更してくれますが、今は朝葛根湯加川芎辛夷・排膿散及湯・加工ブシ末。夜は五積散・大防風湯・加工ブシ末を服用です。
    因みに、加工ブシ末は骨関節炎の痛みの緩和の為の処方です。
    骨関節炎は悪化してますが、皮膚症状だけなら漢方で治りました。
    以前、骨関節炎でしばらくメトトレキサートを服用してましたが、副作用で吐気・食欲不振で体重激減・肺炎も出てしまい医師より断薬されました。
    痛みの為、ずっと休職してるので骨関節炎の薬を模索中です。
    お互い病気に負けず頑張りましょう。
    長文失礼しました。

  3. あやぴー より:

    掌蹠膿疱症の為、皮膚科、婦人科、内科、精神科に行きましたが、皮膚科では、塗り薬ベトノハール0.12を処方。婦人科では、漢方補中益気湯。精神科では、安定剤。を処方されましたが、どれを飲んでも、皮が剥がれたら、また、水泡が出来るの繰り返しで、夏場は手のひらが酷く、今は足の裏が歩く時、皮が薄いため、ピキピキと痛いです。病院で処方してもらえる、漢方はありませんか?宜しくお願い致します。

    • 掌蹠膿疱症.com より:

      私は漢方治療を受けていないのでどなたか、あやぴーさんにアドバイスしていただけないでしょうか?

    • いちご より:

      あやぴーさん 初めまして^ ^
      以前 私も みおさん同様 漢方飲んでいました。
      ビオチンも併用で飲んでいました。
      二年間 飲みましたが 全く効果がなく 漢方はやめました。
      当時は 足のむくみと冷えにも苦しみました。
      その都度 症状をメールにて送信 電話で 話をしながら (遠方のため)
      色々な漢方を処方してもらいましたが 効果はなしでした。
      漢方自体 高価でしたので 期待していましたが 結果 無駄に使いました。
      それでも 何でも チャレンジしてみるのも 一つの手段だと思います。
      みおさんみたく 漢方が合う方もいらっしゃるからです。
      ただ 期待を持ちすぎることなく トライしてもいいと思います。
      納得できなければ やめるのも 簡単です。
      私も 毎日 痛みと格闘中です・・・6年もです・・
      それでも 望みは捨てていません。
      お互い 頑張りましょう!!