病巣感染治療

扁桃や歯性病巣が圧倒的に多く、治療によって80%以上の有効性が報告されている。

扁桃や歯性病巣の治療は、時間と費用がかかるものです。
特に扁桃摘出となると手術のリスクも伴い、掌蹠膿疱症の治療としては非常にハードルが高いものです。

もちろん、医師の診断の下に治療は進められると思うのですが、事前に、病巣部位不明の感染に対して網羅的に使用されるマクロライド系の抗生剤を使用して、その効果の有意性を確かめてからを強くおすすめします。

掌蹠膿疱症は日本人に多い疾患で、一説によるとヒト白血球型抗原(HLA)が扁桃や歯性病巣の影響を受けやすいのではないかと疑われています。

このページでは以下の主に以下の論文を参考に、病巣感染と掌蹠膿疱症の関係性についてまとめていきたいと思います。

それぞれの論文の内容は非常に難しく、読み込んで理解するのに非常に時間がかかってしまいましたが、分かりやすく要点だけを簡単に解説していきたいと思います。

執筆にあたって参考にした代表的な論文

掌蹠膿疱症と病巣感染にかかわる論文はここに挙げたものを含めて非常に多いですので、興味があったら調べてみてください。ただし、どれも内容は非常に難解です。

(1)病巣感染と掌蹠膿疱症
Visual Dermatology 11ー10―目でみる皮膚科学 特集:掌蹠膿疱症の治療 (Visual.D)-ヴィジュアルダーマトロジー編集委員会(秀潤社 2012年)「J Visual Dermatol11:1036-1041,2012」)

(2)扁桃と掌蹠膿疱症(耳鼻科の立場から)
Visual Dermatology 11ー10―目でみる皮膚科学 特集:掌蹠膿疱症の治療 (Visual.D)-ヴィジュアルダーマトロジー編集委員会(秀潤社 2012年)「J Visual Dermatol11:1042-1047,2012」)

(3)掌蹠膿疱症に対する口蓋扁桃摘出手術の有効性-80例の検討-日皮会誌:114(14),2319-2326,2004

図説1:治療の有効性

まず、症状に悩める患者にとってはうれしい図から紹介します。

グラフの縦軸は掌蹠膿疱症の皮疹スコアで、高ければ高いほど症状がひどいと思ってください。
横軸は期間を表していて、右に行くほど時間が経過していきます。(2年3か月)

対症療法(緑系)のラインは皮疹スコアが下がった後もも低いレベルで、だらだらと症状が続いていますが、病巣感染治療(扁摘、歯科治療)は確実に軽快に向かっています。

(Visual Dermatology 11ー10―目でみる皮膚科学 特集:掌蹠膿疱症の治療 (Visual.D)-ヴィジュアルダーマトロジー編集委員会(秀潤社 2012年)「J Visual Dermatol11:1036-1041,2012」)

出典:J Visual Dermatol11:1036-1041,2012

図説2:病巣は病巣扁桃と歯性病巣が圧倒的多数

病巣扁桃に関しては無症状であることが多いとのことです。そのため歯性病巣があるかないかを検査することが優先されます。

まだ詳しく掘り下げることができていないのですが、病巣感染の原病巣としては、a-streptococcusという口腔常在菌であるという仮説があり、これが掌蹠膿疱症の原因となる免疫機能が密接に関係しているのではないかと言われています。

この点については聖母病院の小林里美医師によって研究が進められることを期待したいです。

掌蹠膿疱症の発症原因(n=238)

出典:J Visual Dermatol11:1036-1041,2012

症例の大半が扁桃摘出や歯性病巣治療で軽快する事実を知る

どういうわけか、『信じてもらうための挑戦―掌蹠膿疱症は「治る」病気です』2008/4 前橋 賢(著)の中で、前橋医師は病巣の治療に対して否定的です。一方、聖母病院の小林里美医師は論文の中で、誰もがわかる図と引用によってその有効性を証明しています。
※聖母病院は数少ない掌蹠膿疱症の専門外来があり、小林先生はその研究からも権威と呼べる方です。

ビオチン治療法をこそ根本治療と主張したい前橋医師の立場からすると、病巣要因説は否定したいのはやまやまだとは思うのですが、他の論文などでもその有効性が多く出ており、否定するには反証するデータが乏しく、無理があるのではないかと思います。
※わたしは決してビオチン治療法を否定はしていませんが、それだけで十分だとは思っていない立場です。

以下は掌蹠膿疱症に対する口蓋扁桃摘出手術の有効性-80例の検討-日皮会誌:114(14),2319-2326,2004より引用した図です。

2015-09-14_175500

簡単に解説します。

図1では扁桃腺の摘出を行った例(上部)と行っていない例(下部)との差を説明したものです。
※治癒した人が13.0%もいる点、症状が変わらない(不変)が人7.45分の1という点は無視できません。

図2では扁桃摘出ほどではないとはいえ、歯科治療も症状の改善が見られることを示しています。

念のため補足をすると、経口内服薬群の内訳は抗菌薬の全身投与27例中10例(37.0%)、ステロイド剤内服5例(29.4%)、シクロスポリン1例(5.9%)、イトラコナゾール1例(5.9%)とのことで、これらの内服薬を中止することによって多くの症例で症状の再燃が認められたようです。

いずれの薬剤も新たな膿疱の形成を抑制するもので、根治治療法ではないため、一旦は症状が軽快しても長期の寛解は望めないものと考えられるとのことです。

※わたしは一定期間の寛解も重要だと思うため、経口内服薬による一時的治療も非常に重要だと思います。この点は抗生剤による治療を紹介するページでもお伝えしています。

それでは具体的に病巣感染に関する治療についてまとめていきたいと思います。

歯性病巣

以下の論文の中では、歯性病巣治療の有効率は高く65~78%と報告されています。

歯科病巣も扁桃を中心とするワルダイエルリンパ組織がかかわる部分に存在するからとのことです。
歯科病巣も扁桃病巣へ通じているということが分かります。

歯性病巣が明らかになれば歯科治療が80%程度の有効性が得られていると結論付けられています。

ただし、歯科治療のネックとしては(1)高価な義歯の作り直しを要する点(2)抜歯を要して義歯になるのが嫌など、治療を希望しない患者もいるため、その場合はマクロライド系抗生剤などを組みわわせて経過を追うそうです。

病巣感染と掌蹠膿疱症
Visual Dermatology 11ー10―目でみる皮膚科学 特集:掌蹠膿疱症の治療 (Visual.D)-ヴィジュアルダーマトロジー編集委員会(秀潤社 2012年)「J Visual Dermatol11:1036-1041,2012」)

病巣扁桃

耳鼻咽喉科の分野では掌蹠膿疱症は典型的な扁桃病巣疾患として認識されています。

小林里美医師によると、問診で学童期に扁桃炎を繰り返していた例では扁桃腺摘出の高い効果が期待できるとのことです。

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コメント

  1. トマト より:

    私が今の治療法に至るまでに紫外線療法や扁桃腺を切ることや銀歯を外すことなどを行っているお医者さんが様々いらっしゃいました。ビオチンも出されていました。一応、銀歯は外しましたが効果なし。幸いに扁桃腺切除や紫外線療法はしませんでした。
    私は7、8年前に掌蹠膿疱症になりましたが、姉が秋田の先生を見つけてくれました。色々探していると大阪に秋田の先生と同じ治療法をしている先生を見つけて大阪に行く事にしました。
    食事、ビオチンビタミンCやみやりさんが入っているものをのんでます。中々食べてはいけない物をたべまくったりしたり、タバコが止めれなかったりしましたが以前より改善しました。タバコを数年前にやめてからはもっと良くなり、食べてはいけない食品はなるべく食べないようにしだしてからはなんでもなくなりました。調子に乗って食べてはいけない物をここ二ヶ月ちょと毎日食べまくり、
    次第にまた膿疱が手にでき、爪か変形してしまいました。慌てて今は食事制限しています。
    食べてはいけない物は治ればたまに食べるぶんには良いと先生はおっしゃっていました。
    血液検査で腸内環境も分かるので、
    次に病院に行くまでには腸内環境を良くしなくてはと思っています。
    この治療法をすれば腸内環境は良くなります。
    先生がきちんと説明してくれます。
    関西弁のダンディな先生です。
    通院は年一回、薬は送っていただけます。
    腸内環境にいいと思ってヨーグルトなどを食べないで下さい。
    なぜミヤリさんか?などは先生に聞いて下さい。
    先生の名前は岩橋先生。
    岩橋クリニックです。
    整形外科、リウマチ科、ペインクリニック、内科、皮膚科があります。
    遠くから治療されてるかたが多くボランティアさんが薬やビオチンを送ってくれています。
    ちなみに私は横浜から行ってます。

    • 掌蹠膿疱症.com より:

      トマトさん

      貴重なご体験の共有ありがとうございます!

      『調子に乗って食べてはいけない物をここ二ヶ月ちょと毎日食べまくり、
      次第にまた膿疱が手にでき、爪か変形してしまいました。』

      と、ありますが具体的に食べてはいけないものとは何でしょうか?
      私の知っている限りではビオチン治療法を行っている場合は、ビオチンの産生に弊害となる卵のシロミなどですが、ご教示いただけないでしょうか?

      • トマト より:

        食べてはいけない食品は全ての発酵食品、乳製品、ヨーグルトやチーズやカルピスやたくあんなど沢山あります。
        他には生の卵白です。

        • トマト より:

          すみません。乳製品でも発酵してなければ大丈夫です。

    • いちご より:

      トマトさん 初めまして^ ^ 
      私は以前 秋田の前橋先生の所に年一度通院していました。三年かけて 一度治ったのです。が 再発してしまいました。今は 前橋先生はもう退職されたのでしょう。免疫内科が閉鎖になっています。 仕方なく別な病院で同じ薬を処方してもらっています。ですが 以前は 痛みもなく ただ 不便だけだったのが
      再発してから6年位ですが歩くのもままならないほど 痛みが酷く 特に足が酷いです。足の裏 脇 爪にきています
      靴を探すのも楽ではありません。普通の靴では 痛くて歩けないために
      4Eや 5Eの靴を履いています。
      手の方は 手のひらより 爪に膿疱がたまり 痛みもあり すぐかけたりします。
      岩橋クリニックは ネットで調べてみました。
      血液検査やレントゲン等はしてくれるのでしょうか??
      食品に制限がありますよね・・ ずうっ~と我慢して 食べずに頑張っているのに
      全然 治らないのは なぜなのか・・
      歩くことが できないことと 寝ている以外はずっと痛いというストレスが
      半端なく続きます。特に風呂上りと 出かけた日は 特に痛みが酷く
      夜は 眠れないほどです。
      思い切って 大阪まで行こうかと考えているところです。
      この痛みがいつまで続くのかと考えたら 気が遠くなりそうで・・・
      検査について 教えてくださいませんか
      よろしくお願いします。
      とりとめない 文になってしまいごめんなさい・・

      • トマト より:

        イチゴさん、初めまして。
        大阪の吹田市にある岩橋クリニックは皮膚科だけでなくペインクリニックや整形外科やリュウマチ科などがあります。レントゲンと血液検査や尿の検査もします。私がヨーグルトを何ヶ月も毎日たべチーズも食べていたのですが、たまたま大阪の先生に一年ぶりに病院に行った時に症状はなかったのですが、血液検査で腸内免疫が悪くなっているとばれてしまいました。今はビオチン、ミヤリさんやビタミンCを1日に4回のんでます。岩橋クリニックはきちんとしている病院です。試しに一度だけでも受診してみてください。
        文章力がなくてすみません。

        • いちご より:

          トマトさん 返事が遅くなりすみません。
          返信 ありがとうございます。
          思い切っていってみようかと思いますが やはり 予約した方がいいですよね?
          遠いので なかなか 思い切ってじゃないと 行けそうにないのが
          現状です。最低一泊は必要ですよね?
          返信本当にありがとうございます^ ^
          嬉しいの一言です^ ^
          また 質問するときは よろしくお願いいたします。
          それと 前橋先生の話をしても 構わないのでしょうか?
          嫌がる先生とかがいるのも経験済みなので・・
          再度 返信お待ちしています。
          厚かましくて すみません。

  2. りりーちゃん♪ より:

    はじめまして

    じんましんが酷く1年半ステロイドを飲んでおりました
    その後、検査で病巣感染症と診断され、2015.6中旬に扁桃摘出手術を受けました
    術後ステロイド経口薬は2015.10まで飲みました
     その後、関節痛などいろいろありますが、暮れにまたひどくじんましんが出ました
    その後、落ち着いたかのように見えましたが、また今週1週間ほどじんましんが続いており、今日はかゆくて眠れませんでした。
     今も手、背中、足にじんましんが出てかゆくてたまりません
    この症状はまだ続くものなのでしょうか?
    徐々にひくものなのでしょうか? ほかに病気を疑うべきなのでしょうか?
    私にはわかりません・・・
     扁桃を取ったのでこれ以上取るものもないと思うと手立てが見つかりません
    なにか案があれば教えてください
    お願いします

    • 掌蹠膿疱症.com より:

      りりーちゃん♪さん

      コメントありがとうございます。

      病巣感染は必ずしも扁桃に限定されるものではないので、網羅的に一度疑ってみるのであれば抗生剤が良いのではないでしょうか?
      長期間服用はできませんが、抗生剤が効くようであればその他の病巣を探すきっかけになるので一歩するめるのではないでしょうか?
      掌蹠膿疱症は人によって発生機序が違い、言ってみれば便宜的に使われているような病名のようなところもあるので、このサイトにある治療法を自身の症状と照らし合わせながら段階的に検証してみてはどうでしょうか?

  3. めぐ より:

    こんにちは
    掌蹠膿疱症骨関節炎といわれ 4ヶ月過ぎたところです。ネットから沢山の情報を得ることが出来た事と、信頼出来る先生との出会い によって 病名が早く分かって幸いでした。
    関節炎 の症状がひどく、歩行困難な日が続いていますが 波がある様で楽に感じる時もあります。
    手、足 の症状も赤むくれていてお風呂に入るとしみたりします。
    ビオチン療法で治療していますが 量がよくわかりません。
    一度に取る量が5mgと書いてありますが 病院から出る薬は「ビオチン散0.2% 0.5g」
    と書いてあり 量の関係性がわかりません。
    一回に何包飲んだら良いのか教えて頂けたら嬉しいです。

    • 掌蹠膿疱症.com より:

      めぐさん

      以下ご参考までに!
      ちなみに保険診療では一ヶ月の処方量が決まっていますのであくまで医師と相談の上、指示に従うことをおすすめします。
      あと、ビオチン治療法のページでも書いたのですが、ビオチンを服用するということも大切ですが、腸内環境を整えビオチンの体内産生を促す方がインパクトが大きいと感じます。

      成分:ビオチン
      製品例:ビオチン散0.2%1mg/0,5g[ホエイ]

      ※わたしの場合はビオチンの量が1日3mgと少ないですが、この治療法で処方される量は通常量より多い多量の1日9mg~12mgで投与されるケースが多いようです。

  4. y より:

    はじめまして‼︎
    掌蹠膿疱症と診断されて6年ぐらいになります。 4年ほど前から鎖骨から肩甲骨が痛くなり、2年前に銀歯を止めて、膿疱が無くなったのでそれから半年後に扁桃腺の摘出手術をしました。 それからここ1年半まったく痛みがなく(生理前に少しあるぐらい..)何年か振りに痛みで夜目覚める事もなく、やっとあの生活から解放されたと思っていたら..
    ここ1週間前からまたあの痛みが襲ってきました…
    もぉどーしたらいいのかわからず..
    ビオチンは少しの間飲んだのですが…
    抗生物質を飲んでいた時は少しましでした。
    痛みがきつすぎてステロイドを飲んでいた時もあります..
    他に何かいい治療法はありますか?

    • 掌蹠膿疱症.com より:

      yさん

      人によって発生機序が違うので治療法も異なると思います。
      私は痛みが本当に酷い時は鎮痛剤も飲んでいました。
      yさんの場合は徹底的に根本治療に臨まれてきた方だと思われるので、体質改善に繋がる生活習慣の見直しを継続的に行っていくのが良いのではないのでしょうか?

      また、病巣感染については必ずしも歯性病巣とは限らず耳鼻咽喉関連でもあるようです。
      根本治療を続けてこられたyさんだからこそ、徹底的に追求してみてください。